番線をしめる工具の一種が「シノ」です。そもそも番線とは、建設現場で足場を結束させるための針金のことです。これをきつくしめないと足場は安定しません。高所で作業に入る前には欠かせない段取りなので、そこで用いるシノも非常に重要な工具です。ちなみに、番線をしめること自体は人力でもできます。
しかし、足場向けの「12番線」は径が太く、きつくしめあげるのは人の手だと厄介です。そのため、高所の作業員はシノを常備しています。
先端がとがっているうえ、わずかに曲がっている形状がシノの特徴です。このような形をしているのは、番線に差し込みやすいようにとの工夫があるからです。シノ以外の細長い工具でも番線の結束は不可能ではありません。ただ、サイズが大きいと、現場で扱いにくくなってしまいます。そのため、手軽に使えるコンパクトなシノが重宝される場合も多いのです。なお、シノは番線の結束に特化している工具なので、それだけあっても作業が進みません。そこで、ラチェットレンチとシノが一体化している状態が一般的です。
高所で建築作業を行う「とび職」に、シノは重宝されています。足場が外れると大事故につながってしまうので、とび職にとってシノで番線を結束させる作業はとても大切です。