遠心力は、慣性系に対して回転している回転座標系に作用する慣性力のひとつです。固定点の周りを運動している物体が外向きに受ける力のことを指しています。スピードが速ければ速いほど力を大きく感じるといった特徴があります。日常でもよく感じられるためわかりやすい力です。たとえば、遊園地にあるメリーゴーランドや、ループコースターなどに乗った際に感じる外側に強く引かれる力が遠心力です。ほかにも身近なもので遠心力を応用したものには、遠心分離機や電気洗濯機の脱水機能などがあります。
また、混同しやすい用語として「向心力」があります。物体が円運動するために必要な力であり、実際に物体に対して働いています。一方遠心力は、観測者が物体と一緒に円運動している場合に考えるもので、実際に物体には働いていない見かけ上の力です。そのため、両者の向きは正反対で、大きさは同じです。物体に作用して加速度を発生させている外力に対する反作用と捉えることもできます。
そのほか、回転座標系における慣性力は遠心力以外にも、「オイラー力」と「コリオリの力」があります。オイラー力は角速度変化に伴うもので、コリオリの力は物体の速度に比例するものです。