陽極酸化とは、金属の化学反応の1つである。具体的には、電気分解の際に陽極で発生する、電子の除去による酸化反応をいう。電極表面での電子移動が容易になる一種の触媒反応と考えられ、金属を合成する方法として利用されている。
陽極酸化は、ヨーロッパではすでに19世紀半ばに発見があったとされる。日本では大正年間より研究が行われた。
陽極酸化処理とは、金属の表面を陽極酸化すること。チタンやマグネシウムなどでも施されるが、特にアルミニウムで行われることが多い。アルミニウムを陽極酸化処理することを、アルマイト処理(または単にアルマイト)とも呼ぶ。
アルミニウムを陽極酸化処理する時は、電解液の中に陽極(+極)となるアルミニウムを入れ、陰極(ー極)にカーボンや鉛を入れる。電解液に電流を流せばアルミニウムの表面が溶解して、酸化アルミニウムの膜が生成される。そのような工程を経て生成された皮膜が陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)である。
陽極酸化処理を施した金属は、耐摩耗性や耐食性に優れている。また、絶縁性となって熱伝導性が低い。さらに、見た目が美しくなるというメリットもあり、電解液の種類を変えるなどで陽極酸化皮膜の発色も変えられる。
陽極酸化皮膜はさまざまな分野で使われており、自動車や航空機から、半導体・光学部品・医療器具など幅広い。建築では、アルミニウム製の建材に陽極酸化処理(アルマイト)を施す事例がある。